後払いや給与前払いサービスは合法?ファクタリングとの違いも解説【元弁護士が解説】

最近、給料や取引先への支払いなどを「後払い」できるサービスが登場しています。

また福利厚生として「給料を前払い」できるサービスを導入する企業も現れています。

これらの「後払い」や「前払い」はほぼ同じ仕組みであり、法的構成としては「立替払い」に分類できます。

「給料の前払い」というと違法な給与ファクタリングにも近いイメージがありますが、法律的に問題ないのでしょうか?

これらのサービスとファクタリングの違いについても理解しておきましょう。

今回は金融庁の見解も交えながら、給料などの「後払い」や「前払い」サービスの法的構成や合法性、ファクタリングとの違いを解説します。

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目次

後払いサービスとは

後払いサービスとは、給料や取引先への支払いなどを後払いできるサービスです。

給料や取引先への支払いが発生する場合、基本的には期日(まで)に支払わねばなりません。

遅れると遅延損害金が発生しますし、相手から督促されてしまいます。

ところがどうしても期日に支払うのが難しいケースもあります。

そんなとき、後払いサービス会社に依頼して給料や買掛金を代わりに支払ってもらうのです。

立て替えてもらった給料や買掛金は、利用会社が後からサービス提供会社へ支払います。

最長60日間程度、支払いを先延ばしにしてもらえるケースが多数です。

後払いできる支払いの種類

サービス内容にもよりますが、以下のような支払いを後払いにできます。

  • 従業員へ支払う給料
  • 取引先へ支払う買掛金
  • 家賃、地代など

ただし後払いサービスを利用すると手数料が発生します。サービス提供会社によっても異なる可能性がありますが、だいたい10%程度はかかるものと考えましょう。

給与前払いサービスとは

後払いサービスと似たものに「給与前払いサービス」もあります。

給与前払いサービスとは、サービス提供会社に支払日より先に従業員へ給料を支払ってもらうサービスです。

給与前払いサービスを適用されると、従業員は予定されている給料日より早めに給料を受け取れます。

一方、給料を支払う会社にとっては、早めに給料を渡すことによって福利厚生に役立てられるメリットがあります。

給与前払いサービスを利用する場合、利用会社がサービス提供会社へ手数料を払わねばなりません。

給与前払いサービスは合法なのか?

給与前払いサービスに関しては特に「法的に問題ないのか(合法といえるのか)」が問題視されました

主に問題となったのは以下の3点です。

  • 事業者への貸し付けにあたるのではないか?
  • 従業員への貸し付けにあたるのではないか?
  • 銀行業や資金移動業などの資格が必要なのではないか?

この点については金融庁の見解が出ているので、結論を含めてみてみましょう。

事業者への貸し付けにあたるのではないか?

まず事業者への貸し付けにあたるのではないかが問題となります。

事業者が支払うべき給料をサービス提供会社が先に支払う場合、サービス提供会社が事業者へ給料分を貸し付けているのではないかと考えられるからです。

もしも貸付にあたるなら、サービス提供会社は貸金業登録をしなければなりません。

この点について、金融庁は「貸金には相当しない」と判断しました。

給与前払いサービスを利用するとき、サービス提供会社は事業者の信用調査を行っておらず、実態として貸し付けにはなっていないという理由です。

従業員への貸し付けにあたるのではないか?

次に問題になったのは「従業員への貸し付け」になるのではないかという問題です。

従業員が給料の先払いを受けるとその分を借り入れていることになるのではないかが指摘されました。

しかしこの点についても金融庁は否定的な見解を示しています。

そもそも前払いできるのはすでに働いた分の給料だけであり、まだ働いていない分の給料は前払いの対象になりません。

また給与前払いサービスでは従業員に対する信用調査も行われません。

従業員から手数料をとらない場合、「利息」に類似するお金もとられないので従業員に不利益はありません。

以上のような事情から、従業員に対する貸し付けにも相当しないと判断されたのです。

なおサービス提供会社ではなく従業員からも手数料をとると、貸金業に相当すると判断される可能性があります。

資格が必要なのではないか?

3つ目に、給与前払いサービスを提供するのに特別な資格が必要なのではないかが問題となりました。

前払い立替払いには銀行業、資金移動業の登録が必要

給与前払いサービスで必要となる可能性のある資格(免許)は銀行業資金移動業です。事業者がサービス提供会社にお金を預け、サービス提供会社が預かったお金から給料を支払う場合、銀行業または資金移動業の登録が必要です。

他人からお金を預かって別の人へそのお金を支払うのは「為替取引」にあたり、基本的に銀行業の登録をしなければなりません。銀行業登録の要件は非常に厳しいので、通常一般の会社が銀行業の登録をするのはほぼ不可能です。

そして資金決済法により、金額が100万円以下であれば資金移動業で足りるとされています。

給与前払いサービスの業者は資金移動業の登録もしていないのが通常です。そこで資格なしに資金移動業や為替取引を行っているものとして、合法性が問題となりました。

預託型の立替払いには基本的に登録が必要

では無資格で給与前払いサービスを展開しても法的に問題はないのでしょうか?

結論的に、企業からお金を預かって決済する「預託型」の給与前払いサービスを提供する場合には、基本的に資金移動業の登録が必要と考えられます。無登録でこのタイプの前払いサービスを提供するのは危険といえるでしょう。

ただし従業員側から手数料をとっておらず資金移動業の登録をしていない業者が、厚生労働省から「違法ではない」という見解を示されたケースがあります。

このことからすると、登録がないとはいえ必ずしも違法になるわけでもないとも考えられます。いずれにせよ厚生労働省が最終的な法的判断をするわけではないので、正式な法的結論については裁判所の判断を待つ必要があるでしょう。

立替型の場合は資格がなくても扱える

預託型ではない「立替型」の前払いサービスの場合には、資金移動業等の登録は不要です。この場合、特に資格がなくても給与前払いサービスを展開できます。

預託型

企業が先に給与前払いサービスの業者に「預託金」を預けて、業者は企業から預かったお金から従業員へ支払う仕組みです。銀行業や資金移動業の登録が必要となります。

立替型

給与前払いサービス業者が先に従業員ヘ前払いの給与を支払い、後からその立替金と手数料を企業へ請求する仕組みです。こちらであれば銀行業や資金移動業の登録は不要です。

3-4.省庁によっても意見が割れるケースがある

給与前払いサービスなどの新しいサービスの合法性については、各省庁において見解が割れるケースもみられます。

たとえば経済産業省のグレーゾーン解消制度を利用して合法と判断された業者でも厚生労働省からは問題視される場合などがあります。

最終的には裁判所の判断を待たなければ合法性は確定されません。

実際、給与前払いサービスや後払いサービスにはいわゆる信用情報機関の調査とは違いますが一応の与信もありますし、支払いまでの期間が60日間というのも比較的長期です。手放しで「合法です」とは言いにくい状況ともいえるでしょう。

後払いサービスや給与前払いサービスの法的構成

後払いサービスや給与前払いサービスが貸金や預託金でないとすると、どういった法的構成になるのでしょうか?

基本的には「立替払い」になると考えられます。

立替払いとは、サービス提供会社が支払いをいったん立て替えて支払い、立て替えてもらった業者は後からサービス提供会社へ手数料を乗せて支払うものです。

クレジットカードのショッピングに近いものと考えると良いでしょう。

契約の種類としては、事務委任契約と考えられます。利用会社がサービス提供会社へ立替払いを委任して、サービス提供会社が委任された立替払いを行い、後に利用会社が決済する、という流れです。

金融庁が給与前払いサービスを合法と判断したのも、基本的にこういった法的構成に依拠していると考えられるからなのでしょう。立替金なので貸金にあたらない、という理解です。

法人用クレジットカードとの違い

法人(事業者)が支払いを先延ばしにできるという意味では、法人用クレジットカードもよく似たサービスを提供しています。

給与前払いサービスや後払いサービス、法人クレジットカードは何が違うのでしょうか?

法人クレジットカードも立替払い

まず法人クレジットカードも給与前払いサービスや後払いサービスと同様に「立替払い」のサービスです。法的構成は同じといえるでしょう。

法人クレジットカードは手数料が発生しない

基本的に法人クレジットカードでは1回払いしかできません。支払いサイトは利用後30日以内となるケースが多数です。この場合、クレジット会社に手数料は発生しません。

10%程度の手数料が発生する後払いサービスや給与前払いサービスとは異なります。

法人クレジットカードで給料は払えない

法人クレジットカードで支払える債務は限定されています。従業員の給与をクレジットカードで払うことはできません。

給与前払いサービスや後払いサービスの場合、給料にも適用できる違いがあります。

クレジットカードに対応していない支払いにも後払いサービスを利用できる

取引先や家賃などがクレジットカード払いに対応していない場合、こういった支払いをクレジットカードで行うことはできません。

前払いサービスや後払いサービスの場合、クレジットカードが使えない支払いにも使えるという違いがあります。

信用情報への影響

法人クレジットカードの場合、約定日までに支払いができないと信用情報に影響が及ぶ可能性があります。

後払いや給与前払いサービスの場合、サービス提供会社は信用情報機関に登録していないので、支払いができなくても信用情報には影響しません。

信用情報がブラックな場合の利用

すでに信用情報が傷ついている方の場合、法人クレジットカードの発行や利用ができません。

一方、後払いや給与前払いサービスの場合には信用情報とは関係なくカードの発行や利用ができます。

ファクタリングとの違い

事業者が早期に資金調達を行う方法としては、ファクタリングもあります。

ファクタリングと後払いサービス、給与前払いサービスは何が異なるのでしょうか?

法的構成の違い

まず法的構成が大きく異なります。

ファクタリングの場合には「債権譲渡」という形式をとります。つまり利用会社がサービス提供会社へ債権を譲渡し、その代金を受け取るのがファクタリングです。

何らかの支払いの立て替えを受けるわけではありません。

給与などの立替を受ける給与前払いや後払いサービスとは根本的に異なります。

資金の用途の違い

ファクタリングで得た資金については、特に用途が限定されません。買掛金、家賃、日頃の消耗品や雑費の支払い、販管費の支払いなど何に使ってもかまわないのです。

一方、給与前払いサービスなら給与の前払いと決まっていますし、後払いサービスでも何らかの債務を特定して立て替えてもらいます。

資金の用途が限定されるかどうかもファクタリングと前払いサービスや後払いサービスの違いといえるでしょう。

ファクタリングの方が資金の使途は自由です。

債権回収の要否

前払いサービスや後払いサービスを利用した場合、利用会社は後からサービス提供会社へ立替金の支払いをすればよいだけです。

一方ファクタリングの場合、ファクタリング会社は自社で債権を回収してサービス提供会社へ払わねばなりません。2社間ファクタリングの場合、ほとんどのケースで利用会社が自主的に債権回収して回収金をファクタリングへ弁済する内容の契約にするためです。

「自社で債権回収しなければならない」のはファクタリングの特徴といえるでしょう。

ただし取引先の倒産などの事情でどうしても回収できない場合、ファクタリングであっても無理に回収する必要はありません。

信用情報との関係

ファクタリングの場合、融資と違い信用情報との関係はありません

いわゆるブラックリストに登録されている状態でもファクタリングを利用できます。

またファクタリングの債務を弁済できなかったとしても信用情報が傷つくことはありません。

信用情報と無関係という点ではファクタリングも給与前払いサービス、後払いサービスも同様といえるでしょう。

ファクタリングと前払い・後払いサービス、法人クレジットカードの違い一覧表

サービスファクタリング前払い、後払いサービス法人クレジットカード
法的構成債権譲渡立替金(事務委任契約)立替金(事務委任契約)
資金の支払先決まっていない決まっている決まっている
給料支払いに使えるか使える使える使えない
手元に資金が入ってくるかくるこないこない
債権回収の必要性あるないない
手数料の相場10~20%10%0%(1回払の場合)
審査あり(信用情報機関は参照しない)あり(信用情報機関は参照しない)あり(信用情報機関)
信用情報への影響ないないある

おわりに

本記事では給料などの「後払い」や「前払い」サービスの法的構成や合法性、ファクタリングとの違いを解説させて頂きました。

最後に弊社サービスであるPAYTODAYをご紹介させて頂きます。

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