税金滞納でも融資は受けられる?審査への影響とその他の資金調達方法

税金滞納時の融資審査や納税相談、猶予制度、資金調達方法を解説するアイキャッチ画像

税金を滞納していると、融資は受けられないのでは…と不安な経営者の方も多いはずです。実際、日本政策金融公庫や銀行の融資は滞納中だと原則難しくなります。この記事では、税金滞納が融資審査に与える影響と、その他の資金調達方法、猶予制度の活用法までを解説します。

目次

税金滞納中は融資を受けられない?審査への影響

日本政策金融公庫・銀行の融資が難しい理由

結論から言うと、税金を滞納している状態では、日本政策金融公庫や銀行などの融資は原則として受けられません。融資の審査では納税証明書などで納税状況を確認するのが一般的ですが、未納の税金があると「未納の税額がないこと」を示す納税証明書を取得できないためです。

金融機関から見れば、納税は事業者にとって優先度の高い支払いです。法人が法人税や消費税を納められない状況は、資金繰りや経営管理に課題があり、借入の返済も滞りかねないと受け取られます。とくに日本政策金融公庫は、国の政策を担う金融機関として、納税義務を果たしていない事業者への融資に慎重な姿勢を取っています。

税金滞納は信用情報に載るのか

税金の納付は金銭の貸し借りではないため、滞納しただけでCICやJICCなどの信用情報機関に記録が登録されることはありません。一方で、クレジットカードやローンの返済の遅れは信用情報に残るため、あわせて確認しておきましょう。

ただし、信用情報に載らないからといって、滞納が知られないわけではありません。融資の申込時に納税証明書の提出を求められれば滞納は明らかになりますし、預金口座が差し押さえられれば、取引銀行にも伝わります。

税金を滞納し続けるとどうなる?差し押さえと延滞税

督促状から差し押さえまでの流れ

国税の場合、納期限までに納付しないと、原則として納期限から50日以内に督促状が送られます。督促状を発した日から10日を経過しても完納されないと、税務署は財産を差し押さえられる状態になります。実際には電話や文書での催告、財産の調査を経て差し押さえに進むのが通例ですが、法人税・消費税・源泉所得税などの滞納を放置すれば、預貯金・売掛金・不動産などが対象になり得ます。

売掛金を差し押さえられると、税務署から売掛先へ通知が届くため、取引先に滞納の事実が知られ、取引の継続に影響が出るおそれもあります。

延滞税の割合と負担

納期限を過ぎると、納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて延滞税がかかります。令和8年(2026年)の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。この割合は市中の金利水準に応じて毎年見直されます。

2か月を過ぎると割合が大きく上がるため、滞納が長引くほど負担は重くなります。支払いが難しいと分かった時点で、早めに手を打つことが大切です。

滞納が経営に与える影響

税金の滞納は、延滞税の負担だけでなく事業の経営全体に影響します。預金や売掛金が差し押さえられれば、仕入れや給与の支払いに支障が出ます。取引先に滞納が知られると信用が下がり、新たな融資も受けにくくなるため、資金繰りの悪化が連鎖しかねません。

税金の滞納がある場合、原則として通常の融資審査通過は極めて厳しくなります。過去に滞納や差し押さえの経験がある会社がどのように融資に向き合えばよいか、実際の支援現場のレポートについては、以下の記事をご参考ください。

参考:資金調達の現場レポート⑧ 代表者に税金滞納の経験のある会社の創業融資

税金滞納中でも検討できるその他の資金調達方法の比較

銀行や日本政策金融公庫の融資が難しくても、その他の資金調達方法で納税資金を用意できる場合があります。代表的な4つの調達方法を、特徴とともに整理しました。

調達方法滞納中の利用資金化のスピード主な注意点
ノンバンクのビジネスローン商品による(納税証明書を求めない商品もある)最短即日の商品もある金利が高め・返済義務がある
不動産担保ローン担保の評価次第(差し押さえ登記があると困難)数日〜数週間かかる場合も担保にした資産を失うリスク
ファクタリング売掛先の信用力が中心最短即日の会社もある手数料がかかる・差し押さえ済みの売掛金は不可
補助金・助成金滞納があると申請できない場合がある後払いで時間がかかる納税資金には使えない

ノンバンクのビジネスローン

ノンバンクのビジネスローンは、銀行融資に比べて審査が柔軟で、納税証明書の提出を求めない商品もあります。そのため、銀行融資が難しい場面でも、借入で納税資金を用意して滞納を解消できる可能性があります。

ただし、銀行融資より金利が高めに設定されるのが一般的で、返済期間が長くなるほど利息の負担が増えます。資金の使い道は事業に関わるものが基本のため、経営者個人の税金の支払いなどに充てると契約違反になるおそれがある点にも注意してください。

不動産担保ローン

事業用や自宅の不動産を担保にすれば、ノンバンクの不動産担保ローンで納税資金を調達できる場合があります。審査では申込者の信用より担保不動産の評価が重視されやすく、滞納中でも融資が認められるケースがあります。

ただし、すでに税務署が不動産に差し押さえの登記をしている場合、担保としての利用は難しくなります。返済が滞れば担保にした資産を手放すことにもなるため、慎重な検討が必要です。

ファクタリング

ファクタリングは、保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して現金化する資金調達方法です。融資ではなく債権の売買なので借入にあたらず、信用情報にも記録されません。審査では利用者より売掛先の信用力が重視されるため、税金を滞納していても利用できる可能性があります。

売掛先に通知せず利用者とファクタリング会社の2者間で契約する「2者間ファクタリング」と、売掛先の承諾を得る「3者間ファクタリング」があります。手数料の目安は2者間で8〜18%、3者間で2〜9%程度とされ、申込みから入金までが最短即日という会社もあるため、納期限が迫っているときの選択肢になります。契約前には、売掛先が支払えない場合に利用者が買い戻す義務を負う「償還請求権」の有無を必ず確認しましょう。

注意したいのは、税務署にすでに売掛金を差し押さえられている場合、その売掛金は売却できない点です。差し押さえを受ける前の早い段階で検討することが欠かせません。

ファクタリングのメリットと注意点は、次のとおりです。

  • メリット:滞納中や赤字決算でも、売掛先の信用力をもとに審査されるため利用しやすい
  • メリット:最短即日で入金される会社があり、納期限に間に合わせやすい
  • メリット:償還請求権なしの契約なら返済義務がなく、借入残高も増えない
  • 注意点:手数料が差し引かれるため、受け取れる金額は売掛金より少なくなる
  • 注意点:売掛金がなければ利用できず、調達できる額も売掛金の範囲に限られる

補助金・助成金は納税資金には向かない

補助金や助成金は返済不要の資金ですが、納税資金の調達には向きません。多くの補助金は、事業で支出した経費を後から補助する精算払い(後払い)で、交付までに数か月以上かかります。税金の支払いは補助対象の経費にもなりません。公募要領で納税状況が要件とされ、滞納があると申請できない場合もあります。滞納を解消したあとの、中長期の資金繰り改善策として活用を検討するとよいでしょう。

自社に合った資金調達方法を選ぶ3つの判断軸

どの調達方法が向いているかは、納期限までの余裕、手元にある資産、返済に回せる余力によって変わります。中小企業の法人なら、次の3つの視点で整理すると選びやすくなります。

納期限までの余裕で選ぶ

督促状が届くなど差し押さえが迫っているときは、入金までが早いファクタリングやビジネスローンが候補になります。不動産担保ローンは審査や手続に時間がかかる場合があるため、時間に余裕のある段階で検討したほうが安心です。

手元の資産で選ぶ

売掛金があるならファクタリング、担保にできる不動産があり差し押さえ登記もされていなければ不動産担保ローンが選択肢です。どちらもない場合は、後述の猶予制度で納付の負担を軽くしたうえで、ビジネスローンの利用を検討します。

返済負担で選ぶ

ビジネスローンや不動産担保ローンは、元本に加えて利息を返済し続ける必要があります。ファクタリングは手数料が差し引かれる代わりに、償還請求権なしの契約なら返済義務がありません。手数料と金利は単純に比べられないため、実際に受け取れる金額と入金までの日数、その後の返済負担を並べて比較しましょう。

納税が難しいときは猶予制度・分割納付を相談する

融資などで一括納付する前に、まず検討したいのが国税の猶予制度です。納付が難しいと分かった段階で、滞納が深刻になる前に税務署へ相談することが、差し押さえを避ける近道になります。

納税の猶予

納税の猶予は、災害や病気、事業の著しい損失などで国税を一時に納付できない場合に利用できる制度です。原則1年以内の期間で認められ、状況によってさらに1年間延長されることもあります。猶予期間中は差し押さえなどの滞納処分を受けず、延滞税も軽減または免除される場合があります。

換価の猶予

換価の猶予は、国税を一時に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合に、申請によって財産の換価(売却)を猶予してもらう制度です。猶予期間中は、新たな差し押さえも原則として行われません。納期限から6か月以内に申請する必要があり、納税に誠実な意思があること、原則として担保を提供することなどが要件とされます。猶予期間は1年以内で、延長すると最長2年となり、延滞税も軽減または免除される場合があります。

2つの制度の違いを、対象や期間、延滞税の扱いで比べると次のようになります。

比較項目納税の猶予換価の猶予
主な対象災害・病気・事業の著しい損失などで納付が困難な場合一時に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがある場合
猶予期間原則1年以内(状況により延長あり)1年以内(延長すると最長2年)
猶予期間中の差し押さえ差し押さえなどの滞納処分を受けない差し押さえた財産を換価されず、新たな差し押さえも原則行われない
延滞税の扱い軽減または免除される場合がある軽減または免除される場合がある

申請には猶予申請書のほか、財産収支状況書などの書類が必要です。税務署の徴収担当で受け付けており、e-Taxでも手続できます。法人住民税や固定資産税などの地方税は、各自治体の税務窓口に相談しましょう。

猶予を受けて納付を続ければ、差し押さえを避けながら事業を継続できます。納税に誠実に向き合う姿勢を示すことは、将来の融資を検討するうえでも欠かせません。

税金滞納中に資金調達するときの注意点

借入は一時しのぎにしない

借入やファクタリングで滞納を解消しても、資金繰りそのものが改善しなければ、次の納期限に同じ問題が起こります。支払いサイトの見直しや固定費の削減など、経営面の改善もあわせて進めましょう。

差し押さえを受ける前に動く

差し押さえが実行されると、預金や売掛金、不動産といった資金調達に使える資産が自由に動かせなくなり、選択肢が一気に狭まります。督促状が届いた時点で、税務署への相談と資金調達の検討を並行して始めましょう。

違法な高金利の業者に注意する

「税金を滞納していても審査なしで即融資」とうたう業者には注意が必要です。金融庁も、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融について注意を呼びかけています。貸金業を営むには登録が必要なため、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認してから契約しましょう。

滞納を解消して融資を受けるためのポイント

税金を完納すれば、未納の税額がないことを示す納税証明書を取得でき、日本政策金融公庫や銀行への融資申込みが可能になります。滞納解消後は、次の4点を意識して進めましょう。

  1. 完納後に納税証明書を取得し、納付状況を確認する
  2. 資金繰り表と返済計画を作り、資金の使い道と返済原資を説明できるようにする
  3. 税理士や商工会議所などの専門家に相談し、事業計画を見直す
  4. 今後の納期限を把握し、納税資金を別に確保しておく

よくある質問(FAQ)

Q. 分割納付中でも融資は受けられますか?

分割納付や猶予の許可を受けている場合の扱いは、金融機関によって異なります。日本政策金融公庫や銀行では納付状況を厳しく確認するため、申込み前に窓口で取扱いを確認するのが確実です。

Q. 個人事業主でも同じですか?

個人事業主も、所得税や消費税、住民税などに未納があると、納税証明書で完納を示せず、公庫や銀行の融資は難しくなります。考え方は法人と共通で、猶予制度や資金調達方法も同様に検討できます。

Q. 納税資金をビジネスローンで借りるのはおすすめですか?

事業に関わる税金の支払いであれば利用できる商品が多く、滞納の解消と差し押さえの回避につながる点がメリットです。ただし金利の負担が重くなりやすいため、先に税務署へ分割納付や猶予を相談し、借入は必要最小限にとどめるのが望ましいでしょう。

Q. 税金の滞納は取引先に知られますか?

通常の滞納だけで取引先に伝わることはありません。ただし、売掛金が差し押さえられると売掛先に通知が届くため、知られる可能性があります。

まとめ

税金を滞納していると、日本政策金融公庫や銀行の融資は原則として受けられません。滞納を放置すると延滞税が膨らみ、差し押さえのリスクも高まります。

  • まずは税務署に相談し、納税や換価の猶予を検討する
  • 納税資金が必要なら、ビジネスローン・不動産担保ローン・ファクタリングを比較して選ぶ
  • 滞納を解消してから、日本政策金融公庫などの融資を目指す

売掛金があれば、ファクタリングで早めに納税資金を確保する方法もあります。状況に合った方法を選び、事業を続けられる形で滞納を解消していきましょう。

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