RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)とは?ファクタリングとの違いは?【元弁護士が解説】

最近、資金調達の方法としてRBF(Revenue Based Finance:レベニュー・ベースド・ファイナンス)が注目を浴びています。

RBFは将来の売上の一部を先に現金化する方法で、アメリカやイギリスなど英語圏を中心に活発に利用され始めています。

銀行借入やVC(ベンチャーキャピタル)とも異なるメリットがあるRBFですが、資金調達の手段としてどういった方法が最善か判断するため、RBFの特徴やメリット・デメリット、ファクタリングや他の資金調達方法との違いは是非押さえておきましょう。

本稿ではRBFで押さえておきたい基礎知識を解説しますので、資金調達に関心のある方はぜひ参考にしてください。

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ファクタリングとは

ファクタリングとは売掛債権(請求書)の買取サービスです。先払い、請求書買取サービスとも呼ばれたりします。売掛債権の流動化を行うことで、手元に現金を確保します。借りない資金調達とも呼ばれております。

詳しくはこちらを参照ください。

目次

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)とは

RBF(Revenue Based Finance レベニューベイストファイナンス)とは将来発生する売上を先に現金化して資金調達する方法です。現在の売上を基準とし、将来の継続性を考慮して資金調達を受けることが可能です。

RBFは、法律的には将来債権譲渡のスキームを利用しています。

ロイヤリティ・ベースド・ファイナンス(Royalty-Based Financing)とも呼ばれており、借入(デット)や株式(エクイティ)など従来の資金調達に加え、新たな調達手段として注目されています。

RBFが盛んなエリアや業種

過去10年のRevenue Based Financingの検索数増減
過去10年のRevenue Based Financingの検索数増減
過去10年のRevenue Based Financingが多く検索された地域


RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)はフィリピン、アメリカ、インド、イギリスなどの英語圏で関心が高く、特に2020年以降はフィリピンでのネット検索数が急激に多くなっています

2019年の時点で世界のRBF市場規模は9億100万米ドルに達しており、2027年には423億米ドル規模に達するといわれています。

RBFを利用するのは、主にSaaSスタートアップ企業です。SaaS企業では売上の予測を立てやすく、最近ではD2C(Direct to Consumer)企業や音楽、映画業界の企業などが利用する例も増えています。今後はさらに多くの分野の企業がRBFを利用するようになるでしょう。

2種類のRBF

RBFには「定額制(Flat Fee)」と「変動制(Variable collection」の2種類があります。

定額制とは

定額制の場合、投資家は発生した売上から毎月一定額の返済を受けます。返済期間は1年未満となるケースが多数です。

返済金額が一定なので返済管理は容易ですが、月次売上との乖離が発生しCF管理が難しくなります。

変動制とは

変動制の場合、投資家への返済は月次売上と連動して変動します。

RBFの性質が債権譲渡である以上、こちらのほうが法的には親和性が高いという意見があります。

RBFと融資との違い

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)は融資とは異なります。

融資の場合、代表者の個人保証を求められるケースも多く、抵当による担保を求められます。また一番の違いは、融資はBSとPLをベースとする審査判断なので、ある程度の実績がないと銀行からの融資は困難です。

一方RBFは、“お金を借りるわけではなく、「将来の売上(将来債権)を譲渡」するスキームです。売上は上がっているが、人材投資等が先行して赤字のスタートアップ企業でも、継続する売上があれば利用可能です。

RBFとベンチャーキャピタル(VC)の違い

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)はベンチャーキャピタルからの出資とも違います。

ベンチャーキャピタルの場合、投資家に株式を割り当てることによって出資を募ります。つまり投資家が会社の株主となるのです。その結果、代表者における会社の経営権が希薄化したり、投資家が会社経営に口出ししてきたりするリスクが発生します。

RBFの場合には株式の割当はしないので、投資家が株式を取得することはありません。

あくまで将来債権を譲渡するだけです。利用企業にとっては会社経営に口出しをされず株式の希薄化を防げるメリットがあるといえるでしょう。

RBFの特徴、メリット・デメリット

RBFの特徴は「融資とVCのハイブリッド」

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)は、「融資とVCのハイブリッド」ともいわれています。

融資のように個人保証や不動産担保を求められることがなく、営業利益が上がっていない段階でも利用しやすくハードルが低くなっています。

一方でVCのような株式の希薄化も起こりません。融資やVCの課題を克服した資金調達方法といえます。

RBFは融資とVCの良いところを取り出し、スタートアップの円滑な資金調達に役立つものといえるでしょう。

RBFのメリット

  • 個人保証や不動産抵当が不要
  • 営業利益が上がっていなくても利用しやすい
  • 銀行の厳しい審査を受けなくて良い
  • スピーディに資金調達できる
  • 株式の希薄化が起こらない

RBFのデメリット

  • 将来の売上の一部を得ることができない
  • 一定の売上額は必要で、どの企業でも利用できるとは限らない
  • 売上が低い場合、想定よりも資金調達額が少なくなるケースがある

RBFと日本法

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)は日本においても利用できると考えられています。

以下で法律上、RBFを利用できる根拠や制限期間などについてご説明します。

RBFは将来債権の譲渡

RBFの法的なスキームは「将来債権の譲渡」です。

債権譲渡とは売掛債権を譲り渡すことをいいます。有償で債権譲渡すると、資金調達に利用できます。たとえばA社がC社に対して有している債権をB社へ譲渡し、B社から譲渡代金を受け取るのです。

こういった債権譲渡のスキームにおいて、C社に対する債権がまだ発生していなくても債権譲渡によって資金調達できるのがRBFの仕組みといえます。

将来債権譲渡が認められる背景

日本でも将来債権の譲渡は可能です。

特に最近では2020年4月に改正民法が施行され、債権譲渡の活発化によって資金調達を円滑にする目的などのもとに、将来債権の譲渡が明文化されました。

<追加された文言>民法

(将来債権の譲渡性)

第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。

 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。

e-GOV法令検索

従来の民法では将来債権の譲渡が明確に規定されておらず「解釈」によって将来債権譲渡が行われていました。今回の改正により、将来債権の譲渡が正面から認められたのです。

こういった法改正により、日本でも将来債権譲渡による資金調達事例がますます増加すると期待されます。

また将来債権を譲渡した場合でも「債権譲渡登記」によって権利を対抗できます。

債権譲渡登記とは、債権譲渡が行われたことを法務局に登記して公示する方法です。

投資家がRBFによって出資した場合、債権譲渡登記をしておけば二重譲渡を防ぎ、売上から優先的に支払いを受けやすくなります。

期間は10年以内

日本でRBFによる資金調達をする場合には、支払いを含めた期間を長くとも「10年以内」とすべきです。

なぜなら債権譲渡を対抗するための債権譲渡登記の期間が10年に制限されているからです。

一般的にRBFの支払期間が10年を超えるケースは少ないと考えられます。ただ、万一それより長くなりそうな場合には債権譲渡登記の効果が失われてしまいます。再度債権譲渡登記を行うなどの手当をしましょう。

RBFとファクタリングとの違い

債権譲渡を利用する資金調達手段としては「ファクタリング」がすでに広く活用されています。

関連記事

ファクタリングについてあまり詳しくないという方は下記記事も是非ご参照ください。

RBFも同じ債権譲渡を利用する資金調達手段だとすると、ファクタリングとRBFは何が違うのでしょうか?

ファクタリングとRBFの違いを一覧にまとめると下記のようになります。

RBFファクタリング
債権がすでに発生しているかどうか発生していない
(将来債権の譲渡)
発生している
(すでに発生した債権の譲渡)
支払い方法毎月の支払い基本的に一括払い
手数料融資より高く、ファクタリングより安い高い
利用が適している企業融資が受けられないスタートアップ企業老舗企業を含めて全ての企業

順番に詳しく解説します。

債権がすでに発生しているかどうか

ファクタリングとRBFの大きな違いは「債権がすでに発生しているかどうか」です。

RBFの場合には、将来発生する債権の一部を譲渡するのであり、現在発生している必要はありません。第三債務者などの債権の詳細が確定している必要もなく「売上が上がる見込み」さえあれば良いのです。投資を申し込む際にも「基本契約書」や「請書」「発注書」などの書類は法的には不要です。

一方ファクタリングの場合には「すでに発生した債権」を譲渡するのが通常です。

現在すでに債権が発生しているか、最低限、「確実に発生する場合」でないと、ファクタリングは利用できません。

第三債務者などの譲渡債権の詳細もある程度確定していないと「債権の特定」が行われていないという理由で債権譲渡が無効になる可能性もあります。

  • ファクタリング…すでに発生している特定された債権を譲渡する
  • RBF…まだ発生していない不確定な債権を譲渡する

支払い方法の違い

RBFとファクタリングでは支払い方法における違いもあります。

RBFの場合、個別債権を譲渡するのではなく当初にまとまった資金の受け入れを行い、その後「営業利益の○%」などの方法で支払金額を計算します。支払いは毎月継続的に行います。

一方ファクタリングの場合、すでに発生した特定の債権を譲渡して債権譲渡の代金を受け取り、その債権を回収した段階で利用企業が一括で支払いをするのが一般的です(2者間ファクタリングの場合)。継続的に毎月支払いをするわけではありません。

手数料の違い

RBFとファクタリングでは手数料についても違いがあります。

ファクタリングを利用すると、債権額からファクタリング会社の手数料が引かれます。その分利用企業が受け取れる金額は減らされます。なおファクタリングの手数料相場は譲渡債権額の10~20%程度となるのが一般的です(2社間ファクタリングの場合)。

一方RBFの場合、期間がファクタリングより長くなるため、相対的にリスクが低い債権譲渡が対象となり、手数料はファクタリングより安くなる傾向となります。

利用する企業の違い

RBFとファクタリングとでは利用する企業にも違いがあります。

RBFは安定的な売上(リカーリングリベニュー)の価値に対して資金調達する仕組みなので、利用企業は「リカーリングリベニューを有する将来の伸びが期待されるスタートアップ企業」が多数です。今後はスタートアップ以外の企業にも広まっていく可能性がありますが、現時点での利用企業は新興企業が主と考えましょう。

一方ファクタリングは老舗企業にも広く利用されています。

ファクタリングで譲渡されるのは「すでに発生した債権」であり、債権さえあればどの企業も利用できるからです。ファクタリングで重視されるのは「第三債務者が支払いを行う確実性」「利用者が倒産しない与信」です。確実に支払いを受けられるなら審査に通りやすくなりますが、支払いが不明瞭な場合には審査に通りにくくなります。

まとめ

本記事ではRBF(Revenue Based Finance:レベニュー・ベースド・ファイナンス)の概要とメリット・デメリット、ファクタリングや他の資金調達方法との違いを解説しました。

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)の利用をご検討の方は、是非「RBF by PAYTODAY」までお気軽にお問い合わせください。

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また、手数料も1~9.5%と安価に設定されており、1桁台の手数料でのお取引をお約束します

RBFとファクタリング、どちらが良いか分からないという方も是非一度ご相談いただけますと幸いです。

資金繰りにお悩みの方は是非お気軽にお問い合わせください。

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