診療報酬ファクタリングとは？仕組みやメリット・デメリット、注意点などを解説

ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却し早期に現金化する比較的新しい資金調達方法です。

そんなファクタリングですが、一般企業だけではなく医療機関の診療報酬も対象になることをご存じでしょうか。

今回は診療報酬ファクタリングについて解説します。

診療報酬ファクタリングとは

診療報酬ファクタリングとは、医療機関が保険請求に基づいて受け取るべき診療報酬を、あらかじめファクタリング会社に売却することで、現金を早期に確保する資金調達手段です。

通常、医療機関は治療を提供した後、保険会社や政府機関に請求を行い、診療報酬を受け取りますが、このプロセスは時間がかかることがあります。

そこで、診療報酬ファクタリングを行う事により医療機関は経営の安定や資金繰りの改善を図ることができます。ただし、ファクタリング会社は一定の手数料や利息を取るため、実際に医療機関が受け取る金額は請求額よりも少なくなることには注意が必要です。

診療報酬ファクタリングは、特に資金調達が難しい小規模な医療機関や、即時の資金が必要な場合に有効な手段とされています。

売掛債権と診療報酬債権の違い

「売掛債権」とは、品物の販売やサービスの提供をした会社が、取引先や顧客から代金の支払いを受ける権利の事です。一般企業がファクタリング会社に売却する債権はこの売掛債権になります。

それに対して「診療報酬債権」とは、診療を行った医療機関が「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」から診療報酬を受け取る権利になります。

診療報酬ファクタリングの仕組みと流れ

診療報酬ファクタリングの仕組みと流れを解説すると下記の通りです。

診療報酬ファクタリングのメリット

診療報酬ファクタリングでは、一般企業の売掛債権とは異なり、医療機関が国民健康保険や社会保険に請求する診療報酬が売掛債権として扱われます。

国や地方自治体が支払い元となるこの種の売掛債権は信用力が高く、ファクタリングによる売却は以下のようなメリットがあります。

審査に通りやすく、手数料が安い

診療報酬ファクタリングのメリットとして、一般的なファクタリングと比較して手数料が安く、審査に通りやすいことが挙げられます。

診療報酬債権は社会保険診療基金や国民健康保険団体連合会に対する請求権のため、倒産リスクや未回収リスクが低いです。したがってファクタリング会社も安心して債権を買い取ることが可能となるため、安全性の高さから審査に通りやすく、一般企業が売掛先の債権と比較して手数料も低めになります。

通常のファクタリングでは手数料10%を超える事が殆どですが、診療報酬ファクタリングでは一桁台の手数料が一般的です。

迅速な資金調達

診療報酬の支払い待ち期間が通常数ヶ月に及ぶのに対し、ファクタリングを利用することで、医療機関は数日以内に資金調達が可能です。

資金繰りの改善

診療報酬の先払いにより、医療機関は資金繰りを改善することが可能です。

早期に資金を得ることで、医療機関は投資、設備のアップグレード、その他の運営上のニーズに迅速に対応できます。

負債ではないため融資の審査に悪影響を与えない

診療報酬ファクタリングは「借入」ではなく「診療報酬債権の譲渡」なので、負債ではありません。借入ではないので信用情報に記録されることはありませんので金融機関から融資を受ける際の審査に悪影響が及ぶ可能性は低いです。

したがって、融資を受けるまでの当面の資金繰りはファクタリングでしのぎ、融資を無事に受けたらファクタリングを卒業するといったブリッジファイナンスとしての使い方も可能です。

診療報酬ファクタリングのデメリット

手数料がかかるため売掛金満額を早期調達できない

診療報酬ファクタリングの最大のデメリットは手数料です。これらのコストは医療機関が受け取る診療報酬の実質的な金額を減少させます。

依存すると資金繰りを逆に悪化させる可能性がある

ファクタリングは適切に使えば資金繰りを改善できますが、手数料がかかるので適切でないタイミングで利用すると資金繰りを余計悪化させることに繋がりかねません。継続的にファクタリングを利用することは、医療機関の財務管理に影響を及ぼす可能性があります。

診療報酬ファクタリングの利用に向いている医療機関

診療報酬ファクタリングの利用は下記のような医療機関が向いています。

開業したばかりで銀行からの借入が困難な医療機関

銀行融資の場合、新しく開業した医療機関では経営実績や将来計画の不確実性により審査が厳しく、融資が受けれない可能性があります。

一方で、診療報酬ファクタリングでは、主に「売掛先の信用力」を重視して審査を行います。これは、医療機関自身の財務状況が厳しくても、国や自治体などの信頼性の高い売掛先に請求する診療報酬を利用できるため、ファクタリングは確度の高い資金調達の選択肢となります。

したがって、銀行融資を受けるのが難しい医療機関にとっても、診療報酬ファクタリングは有効な解決策と言えるでしょう。

早急に資金が必要な医療機関

診療報酬ファクタリングの利用に適してる医療機関には、急に資金が必要になった医療機関も挙げられます。

メリットの項目でも触れましたが、診療報酬ファクタリングを利用することで、本来なら2か月～3か月程度かかる診療報酬の入金が数営業日に短縮する事ができるからです。

必要なタイミングですぐに資金を調達できるため、いざという場面にスムーズに対応できます。

診療報酬ファクタリングを利用する際の業者選びのポイント

診療報酬ファクタリングを利用する際の業者選びのポイント

手数料は安いかどうか

診療報酬ファクタリングでは、通常、手数料が低く設定されることが一般的です。これは、民間企業の売掛債権と比較して、国保や社保のような公的機関に対する診療報酬債権の未回収リスクが低いためです。そのため、診療報酬ファクタリングでは一桁台の低い手数料になるのが通常です。手数料を10%以上取られてしまうようでしたら別のファクタリング会社に依頼した方が良いでしょう。

買取上限はいくらか

ファクタリング会社によっては買取上限額を設定している会社もあり、「2000万円調達したかったが上限が1000万円までだった」などというケースも考えられます。その為調達したい金額が高額な場合、ファクタリング会社の買取上限を確認しておいた方が良いでしょう。

おわりに

本記事では診療報酬ファクタリングについて解説させて頂きました。

診療報酬ファクタリングは融資を受けるのが難しい状況の医療機関にとっては非常に便利な資金調達手段である一方、手数料が融資と比較して割高になってきますので計画的な利用が重要になります。

ファクタリング会社選びの参考になりましたら幸いです。

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